犬の下痢は、病気の中では軽い症状と考え、動物病院に通院しなくても自然に治ると思われがちです。
しかし、下痢の状態によっては、大きな疾病の前兆かもしれません。
今回は、身近な犬の体調不良である犬の下痢の症状・原因・治療・予防についてまとめました。
事前に知識を身につけて、愛犬の体調管理をしましょう。
Contents
下痢とは、便に含まれる水分量が増加し、便が軟らかく液状になる状態をいいます。
原因・症状はさまざまあり、食べもの・ストレスによるもの、寄生虫感染やウイルス感染など病気によって起きることもあります。
特に子犬や老犬に急性の下痢が見られる場合には要注意で、発症後1日から数日で命に関わることもあります。
犬の下痢が起きた場合、どんな症状なのか観察することが重要です。
動物病院に通院する場合、獣医師から犬の症状・状況の説明を求められますので、事前にこれらを確認しておくと説明が容易になり、正確な診断の助けになります。
また、便は袋型のジップロックなどに採集し、動物病院に持ち込みましょう。
便の量・トイレに行く回数・便の状態は診断の際に必ず確認されます。
犬は、散歩などで外出の多いペットですが、犬種・性格によっては環境の変化に神経質になる犬もいます。
また、犬は人の感情に敏感な動物なので、家族で喧嘩が絶えない、家族が亡くなったなど、家族の変化でも体調を崩すことがあります。
犬は他のペットと比べても誤飲誤食が多いと言われ、腸閉塞や中毒など命にかかわることもあります。
何を飲み込んでしまったのか、或いは食べてしまったのか具体的に可能性があるものを確認しましょう。
また以下の犬種には誤飲誤食が多く、特に注意が必要です。
■小型犬
パピヨン
トイ・プードル
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
■中型犬
フレンチ・ブルドッグ
ビーグルなど
■大型犬
ラブラドール・レトリーバー
ゴールデン・レトリーバー
嘔吐や衰弱(元気がない)・痙攣(けいれん)・食欲がない・痩せてきているなど、下痢以外の体調異常を確認しましょう。
こうした別の症状があった場合は、救急搬送が必要な重篤な病気の可能性もあります。
すぐに動物病院に連絡しましょう。
血便を伴っているか、回虫などの寄生虫は便の中にいるかを確認しましょう。
血便の場合は、血がどの程度混じっているのか、寄生虫の場合は色や形状を確認しましょう。
また、血便というと、赤い鮮血をともなう便をイメージしますが、便が黒い黒色便も血便の一つです。
寄生虫が混じっていて多頭飼いの場合、他の犬も感染している可能性が高いため、併せて動物病院に連れていきましょう。
犬の下痢は、大きく分けて5つの原因が考えられます。必ずしも病気が原因とはかぎりません。
食べ物が関係する下痢は、犬の下痢で最も多い原因です。
人間と同じように犬にもアレルギーがあり、食事を変えたことで、原材料も変わりますので、食物アレルギーを起こす犬もいます。
この場合、顔が腫れる、皮膚に湿疹がでるなど別の症状も併発します。
その他、乳糖を分解する酵素の働きが低下または欠損している”ラクトース(乳糖)不耐性”の犬が牛乳を飲んだ場合、拾い食いなど悪食でも起こります。
犬にとって毒になるネギ類、チョコレート・人間用の薬などを誤食した場合も起こり、激しい下痢をともなう重篤な症状を起こします。
鳥の骨のように細くとがったものを誤飲すると、気管や腸に刺さることがあります。また、おもちゃなどを誤飲誤食してしまった場合も下痢を起こすことがあり、最悪腸閉塞となります。
完全室内飼いが進む猫と違い、犬は定期的な散歩が必要ですので、他の犬や犬の排泄物との接触などにより気を付けていても細菌感染・ウィルス感染・寄生虫感染などによる下痢症状を起こすことがあります。
感染症が原因の場合、下痢以外の症状を起こすことが多く、下血、発熱、嘔吐、食欲不振、元気の減退などの全身性の症状があります。
原因を取り除かないと慢性化していきます。
多くは引っ越しなど住環境の変化によるストレス性の下痢が多く、神経質な性格の犬に起こる症状です。
それ以外に、集団での行動を好む犬種においては、留守番時間が長いことや、運動が必要な犬種が運動不足になっている場合においても、他の問題行動と併せて下痢をすることがあります。
ストレス状態が慢性化すると精神疾患などになることがあります。
胃腸・小腸・大腸や内臓に何らかの疾患がある場合に起こる下痢です。
慢性化するケースが多く、通常の下痢治療では効果が見られず精密検査でわかる場合がほとんどです。
胃腸・大腸・小腸に腫瘍ができることでも、下痢を起こすことがあります。
下痢だけでの判断は困難ですが、慢性的な下痢を起こす傾向があり、小腸ガンの場合は出血を伴います。
悪性腫瘍(大腸ガン・小腸ガン・胃腸ガン・腺ガン・リンパ腫(消化器型)・肥満細胞腫など)
食事内容の変更や環境の変化によるものと明らかな場合は、まずその原因を取り除く或いは軽減させることで症状は緩和していきます。
■ 食事については、獣医師に相談をした上でアレルギー検査などを行い、アレルゲンを口にしないようにしましょう。
こうした軽い症状の場合、動物病院では、念のため整腸剤(ビオフェルミンなど)が処方されますので、回数を守って服用しましょう。
環境の変化による下痢の予防としては、引っ越し予定が決まっていれば、実際の引っ越しまでに何度か連れていくなど犬を新しい環境に慣らすための段取りをして安心させるようにしましょう。
食事に関しての下痢の予防については、食事変更を徐々に行うこと、アレルギーによる下痢予防は、フードに含まれる成分を確認しアレルゲンが含まれるものを避けましょう。
下痢以外の症状が出ている場合は早急に獣医師に連絡をとり、動物病院での診療をうけ原因を特定しましょう。
発熱・嘔吐・脱水などの症状を伴う場合は急激に衰弱することがあり、夜中に診療を受けるケースもあるので救急外来の動物病院を日頃からチェックしておきましょう。
複数の症状が出る場合の下痢の予防は、別の病気が原因となっているため非常に困難ですが、早期発見・早期治療ができるように、体調の管理の一環として動物病院での定期健診をおすすめします。
誤飲誤食を原因とする場合は、誤飲誤食しそうなものには近づけないようにしつけをしましょう。
犬の下痢は、必ずしも病気ではありませんが、体調不良のシグナルと考え軽んじず、状況・症状を確認しすぐに獣医師に相談することが最適な対応といえます。
普段から、犬の状態をしっかり把握し、獣医師に正確な情報を話し、下痢の原因の早期発見・早期治療ができるようにしましょう。
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