犬の病気も犬種によって罹患しやすい病気など様々ありますが、中でも多く動物病院にお世話になるのは「皮膚病・皮膚炎」といわれています。重度になることは少ないですが、全犬種に渡って罹患する可能性高いためです。
皮膚病にはさまざまな症状があり、ノミ・ダニやアレルギーが原因で起こる皮膚炎がポピュラーな皮膚病になります。
これらの症状は、日々のブラッシングや駆虫などの予防などで皮膚を清潔に保てば治る場合もありますが、生活環境やドッグフードが原因で起きてしまうこともあります。
今回は皮膚病にかかりやすい易い犬種、代表的な犬の皮膚病やその対策方法、飼い主が心がけたいことなどをまとめてみました。
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皮膚病は全犬種かかる可能性のある病気ですが、犬種によって、皮膚の強さ弱さ、アレルギー疾患の起こりやすさに差があります。
特にかかりやすいと言われているのは、フレンチ・ブルドッグ(フレブル)・パグ・ボストンテリアなどの短頭種で、顔の皺(しわ)が多く汚れが溜まりやすいため、お手入れを怠ると細菌が繁殖し皮膚炎になるケースが多くシー・ズーや柴犬、ゴールデンレトリーバーなども好発犬種として知られています。
以下のアニコム損保調べによると平均発症率が20%程度となっており、フレンチ・ブルドッグの罹患率の高さが際合っています。
皮膚炎全般とした場合、人気3犬種(ミニチュアダックスフンド・トイプードル・チワワ)は平均以下となっています。
参照:2011年 アニコム損保 調べ
集計方法:2008年度にアニコム損保に契約した犬220,409頭、猫21,456頭、うさぎ2,359頭を対象に調査を実施。
発症率は、契約満了または死亡解約となった1契約=1頭とみなし、皮膚疾患について1回以上の請求があった犬の割合。
犬の皮膚病・皮膚炎は人間と違い、犬種によって量に違いがあるものの、全身が被毛で覆われているため、なかなか見つけることはできません。
飼主が、うちの子皮膚炎かも?と気づくきっかけは「かゆみ」に対しての犬のリアクションです。
後ろ足で犬が体をかいていることで気づくことが多く、体を普段よりかいているときは何らかの原因で皮膚が炎症を起こしかゆみがおきていることが考えられます。
かゆみの原因と皮膚病・皮膚炎は大きく分けて三つあります。
一つは「アレルギー」と二つ目は「ノミなどの寄生虫」、三つめは「皮膚疾患による皮膚のトラブル」です。
人間では花粉症や動物・食物アレルギーなど一般的症状ですが、アレルギーによる皮膚炎などのトラブルは犬も抱えています。個体ごとに原因は異なりますが、原因物質(アレルゲン)に犬が触れる・食べる・吸引することで、体の免疫機能が強く反応し、皮膚炎を起こしてしまいます。
アレルギーが原因の皮膚炎の場合は食べ物が原因のことも多く、食べることでアレルギー症状が出てしまうことがあります。同じ種類の食べ物を食べ続けていると突然アレルギー症状が出てしまうこともあるので注意が必要です。
以下が犬のアレルゲンになり易い食材です。
ドッグフードは牛肉、鶏肉、とうもろこし、小麦はドッグフードに使われる代表的な食材なので、これらに対するアレルギーが一番多いということです。少しでもアレルギーが疑われた場合は、原材料表示をよく確認することが大切になります。
アトピーというと人間の病気というイメージしかわきませんが現在はさまざまな犬種に起こることがあります。原因は人間と同じく特定するのが困難ですが、症状は強いかゆみ伴う部分は同じです。
アトピー性皮膚炎の治療には、ステロイド剤、抗ヒスタミン剤や脂肪酸などを組み合わせて投与することが一般的です。完治は難しく、症状をうまくコントロールしていくことが重要です。
ノミ・ダニの寄生によって引き起こされる皮膚炎です。他のペットや人間に移ることが最大の特徴です。
ノミによる皮膚炎は予防薬のCMなども多く流れており、最もポピュラーなものです。皮膚炎が起こるメカニズムとしては、犬がノミにかまれることによりアレルギー反応を起こし、かゆみなどが出て皮膚炎になります。
また、ノミ由来の皮膚炎が怖いのは、かむことにより犬に様々な病原体を感染させることもあります。
伝染力も強いため、一匹の犬がかまれることにより猫や人間にも広がるいわゆるズーノーシスがおこるので、早い段階から予防薬を投与・服用犬させましょう。予防薬によって多くの場合ノミによる感染症から身を守ることができます。
「ヒゼンダニ」というダニによる皮膚炎が疥癬症(かいせんしょう)です。
症状としては、かなり強いかゆみを引き起こし、かき続けることで皮膚の状態がさらに悪化します。ノミ感染と同様にほかの犬・人間へ寄生してしまうこともあります。
治療法は、いくつか種類がある薬のなかで、罹患した犬に効き目の強い駆虫剤を使用し、皮膚の炎症を抑える治療を平行して行います。
毛包虫症とは、別名アカラス症、ニキビダニ症とも呼ばれる、寄生虫による感染症を指します。
毛包虫自体は犬の皮膚に常在しているダニなので、普段は皮膚への悪影響はありませんが、犬が病気や老衰で免疫力が落ちると、毛包虫が増殖してしまい、かゆみの症状が現れます。
疥癬症同様に駆虫剤を使った治療を行います。ただし、犬自体が弱っている場合、体調の回復と併せて治療していくため、長引き、繰り返すことの多い感染症です。
アレルギーやノミやダニの寄生・感染といった原因以外では、常在菌の増殖によって起こされる皮膚炎があります。毛包虫症と同じように、通常時は何の問題もありませんが、体の免疫機能が落ちたり、皮膚が弱っているときなどに皮膚炎などの症状が起きます。共通として、長引き繰り返しやすい厄介な皮膚病です。
「ぶどう球菌」が大発生して起きる皮膚炎です。
膿皮症は、皮膚炎の中でも重症化しやすい部類に入ります。症状としては、膿を持った小さな発疹が現れ、大きな発疹へと変わり全身に広がります。かゆみはもちろんですが、重症化すると感染した皮膚に無数の穴が空く、膿が悪臭を放つなどします。
治療法は抗生物質と、殺菌性の強いシャンプー、保湿剤などのケアが必要になります。
細菌性皮膚炎は赤い発疹が現れたりかゆみが出たりする皮膚炎です。
いわゆる湿疹のような症状ですが、様々な常在菌の繁殖が原因でかゆみや炎症を引き起こしてしまいます。重症化する前に抗生物質を投与することで完治するケースもおおいようですが、持病で、アトピー、アレルギー疾患を持っている場合、完治まで長い時間を要します。
真菌性皮膚炎は、その名のとおり真菌(カビ)が引き起こす皮膚炎です。免疫機能が落ちたり外的要因がもとになって皮膚のバリア機能が破られた時に症状が起きます。治療には長期間有することが多く、投薬、シャンプーケアや保湿など含め気長に治療することになります。
マラセチアという常在菌が活発化したときに起こる皮膚炎で脂漏症ともよばれます。稀に食事由来の脂漏症もあります。
症状としては脂っぽく、べたつくフケが出てかゆみが広がるタイプと、乾燥したフケが出て皮膚の表面がかさつきかゆみがでるタイプがあります。症状のタイプによって治療方法が異なりますので、シャンプーなどを行う際は、よく獣医師に相談することをお勧めします。
犬の皮膚病・皮膚炎は犬種によっての備えや病気の種類があり、散歩やドッグランに行くことがあれば、寄生虫感染は完全に予防することは難しいです。ただし、飼い主が気を付けることにより予防できることもあります。具体的には以下の3つが
犬はダニやノミによって寄生虫がついてしまうこともあります。それがただのかゆみのある皮膚炎だけで済めばよいのですが、中には人に寄生して失明などの深刻なケースを引き起こしてしまうこともあります。
そのような寄生虫から身を守るには、まずは予防が欠かせません。生活環境を清潔にし、犬には定期的に駆虫薬を投与しましょう。市販品における駆虫薬も多くありますが、処方されたものと比べると効果が少ないこともあります。年齢や体重によっても処方する量は変わってきますので、きちんと動物病院で診察を受け、処方された駆虫薬を利用するようにしましょう。
皮膚炎の起こりやすい時期には、犬種を問わず傾向があります。
アニコム損保の調査によると、犬の皮膚疾患による通院が、気温の上がる3月頃から増加し、7月のピークに向かって徐々に上昇することがわかりました。一方で、猫、うさぎについては、3月に急増してから8月頃まで平均的に多い傾向が見られます。
原因としては
①夏場は、気温・湿度の上昇に伴い、皮膚や被毛が蒸れやすく汚れや皮脂がたまりやすくなること
②湿気も多く、細菌も繁殖しやすい環境となることから、犬では膿皮症(皮膚の細菌感染)の発症が特に増加する。
③アレルギー体質など皮膚の免疫機能が不安定な場合にも、気温・湿度の変化で皮膚のバリア機能が崩れやすく、膿皮症を併発するなど皮膚炎が悪化しやすい傾向がある
犬は人間と比べれば全身は被毛で覆われ多少の汚れなども影響なく皮膚も丈夫と考えがちですが、全ての犬種が日本の気候に適応しているわけではありません。毎日ブラッシングをし毛並みを整え、汚れやホコリを貯めないようにし、コミュニケーションをとることで少しの変化にも気づいてあげる必要があります。そうした日々の積み重ねが、早期発見、早期治療に繋がります。
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