犬の異物誤飲 身近に潜む犬の誤飲・誤食事故の症状・治療・予防と危険な食べ物まとめ

犬誤飲
Pocket

犬の異物誤飲誤食の危険は、日々の生活の中に潜んでいます。例えば、散歩中に落ちているものを口にしてしまったり、家の中で子どものおもちゃを飲み込んでしまったりなど、犬と暮らしたことのある方ですと、いろいろ心当たりがあるのではないでしょうか。このように異物誤飲誤食は犬と生活する中で、遭遇することの多い事故のひとつです。

とくに、悪食のある犬や好奇心旺盛な犬は、家族に見つからないように素早く口に入れてみて、誤って飲み込んでしまうのです。誤飲誤食したものは、糞や嘔吐で自然に排出されることもありますが、排出されなければ内視鏡や開腹手術を必要とする場合もあり、発見が遅れると最悪命を落とすこともあります。

今回は身近にありながら、なかなか防ぐことが難しい犬の異物誤飲誤食について、まとめてみました。

 

目次

 

異物誤飲・誤食しやすい犬種

フレンチブルドッグ誤飲で苦しい

狩猟犬がルーツの犬種は誤飲が多いと言われていますが、日本では、飼育頭数が多く家の中にいる時間の多いミニチュア・ダックスフンド、チワワ、トイ・プードル、パピヨン、ヨークシャー・テリア、ミニチュア・シュナウザーといった犬種も誤飲が多いようです。
また、ラブラドール・レトリーバーやビーグル、パグ、フレンチ・ブルドッグなど、食物への執 着が強い犬種は特に誤飲しやすいといわれています。

2014年のペット保険会社アニコム損保の調べでは、ボストンテリアが最も誤飲誤食が多い犬種となっています。2014年時点での登録頭数は日本国内で24位の1909頭(ジャパンケネルクラブ 2014年(1月~12月)犬種別犬籍登録頭数)で決して少ない頭数ではないことから異常値ではなく、誤飲誤食が多い犬種といえるでしょう。
そのほか、平均値を超える犬種は大型犬種・中型犬種が多く前述のとおり狩猟犬の血統も見受けられ、小型犬も人気犬種も多くいます。

異物誤飲・誤食しやすい犬種 2014年アニコム損保調べ
(参照:stop誤飲プロジェクト https://www.anicom-sompo.co.jp/prevention/stopgoin/)

犬が異物誤飲・誤食しやすい年齢

犬は、しつけが入らない幼犬・子犬期には、誤飲・誤食が多いといわれています。犬の特性として、気になるものは、においをかぎ咥えてみる、かじってみるといった行動を行いますので、誤って食べてしまう、飲み込んでしまうという流れで異物誤飲・誤食をおこします。
実際に、アニコム社の統計では、0歳時が圧倒的に多く、以降落ちていくということがはっきりしています。
犬が異物誤飲・誤食しやすい年齢 2014年アニコム損保調べ
(参照:stop誤飲プロジェクト https://www.anicom-sompo.co.jp/prevention/stopgoin/)
年齢とともに、物の良しあしが、経験やしつけによってわかることにより減ると考えられます。
ただし、大型犬・中型犬・小型犬といった大きさや犬種によってしつけが入りやすい、大人になるのが早いなどの差がありますのでその点は考慮が必要です。

犬の異物誤飲・誤食の症状

犬の異物の誤飲誤食は、高いの頻度で繰り返すといわれており、いくら叱っても家族が見ていないところでこっそり発生していたり、散歩中に口に入るサイズのプラスチックごみやカラスが食べ散らかした残飯などをみつけると素早く口の中にいれてしまうことがあります。

犬の誤飲誤食は、ペットショップやブリーダー、保護団体などから迎え入れる際にも注意喚起があるため、ある程度家族も警戒していますが、お留守番をさせたり、電話中など家族の目を離した隙をみて口にいれることもあり、どこで起きてもおかしくありません。

ですから、早期発見・早期治療のためには、まずどのような症状が異物誤飲・誤食の症状かを知ってくことが重要なのです。

異物誤飲・誤食の主な症状としてあげられるのは、嘔吐です。嘔吐することで、誤飲誤食したものが出てしまえば問題ありませんが、吐くしぐさをするが嘔吐物がない場合、水を飲んで吐くが内容物が水のみ、繰り返し嘔吐が続くようであれば、すぐに動物病院に行きましょう。

嘔吐以外のその他の症状は以下です。

・食欲不振:ご飯を残す。ご飯の時間になっても欲しがらないなど

・呼吸が荒い:運動をしていないのにゼイゼイと呼吸が荒く、苦しそう

・動きが緩慢になる:ぐったりしていて元気がなく、おもちゃやおやつにも反応せず、起き上がらない

人間も犬も同じですが、ものが口に入って移動していくのは、

喉→食道→胃→小腸→大腸→肛門の順に移動し消化・排出されます。

異物誤飲・誤食した場合、喉・食道・胃の3箇所でものがつまって誤飲の症状を引き起こすことが多いといわれています。

喉、食道、気道を圧迫するので、息ができなくなり窒息の恐れがあります。苦しそうに呻いたり、意識がもうろうとしているので症状はすぐわかります。一刻を争う状況ですので、迅速な対応が必要になります。

胃で詰っている場合、異物が胃の粘膜を傷つけ、痛みを伴い、出血していることもあります。この異物が腸まで到達し詰まってしまうと、腸閉塞を引き起こしその箇所から壊死を起こすこともあり、命に関わることがあります。

犬の異物誤飲・誤食の原因

犬が異物誤飲・誤食が起こす原因は、飼い主の不注意と知識不足によるものです。散歩時に拾い食いしてしまったり室内では、誤飲・誤食しやすいものを、犬の目につく場所に置く、犬が口にすると危険な物(食べ物・飲み物他)を把握していないことで起きます。
また、外での飼育はこうした誤飲誤食のリスクのなかに放つことも含まっておりお勧めできません。

犬が誤飲・誤食すると危険な食べ物

犬が誤飲・誤食をすると危険な食べ物の一覧です。どこのおうちでも1つは置いてあるものも多くあります。

誤飲・誤食すると危険な食べ物、たまねぎ、らっきょう、にんにくなど

  • たまねぎ
  • ネギ
  • ニラ
  • らっきょう
  • にんにく
  • チョコレート
  • ココア
  • ぶどう
  • レーズン
  • アボカド
  • 生卵の白身
  • イカ、タコ
  • ソーセージ、ハム(人間用)
  • カニ、エビ
  • スルメ
  • 野生のキノコ
  • お味噌汁
  • 豚肉 (生肉)

など

犬が誤飲すると危険な飲み物

牛乳については意外と思われる方もいらっしゃると思いますが。本来子牛をそだてるための乳で、犬が飲むべきものではありません。そのため消化できず下痢を引き起こすことやアレルギーを起こすことがあります。

犬が誤飲すると危険な飲み物、アルコール

  • ビールなどのアルコール類
  • 牛乳などの乳製品(人間用)
  • お茶
  • コーヒー
  • 紅茶
  • お酒
  • など

その他誤飲・誤食すると危険なもの

誤飲・誤食以外に、吸い込んで体にはいることで危険なものもあります。アロマテラピーのオイルは植物由来のものが多くあり、犬が口にすると毒性の強いものもあります。ですから吸い込んでしまっても体に異変が起きるケースも有ります。

・アロマテラピーの煙、

・アロマオイル

・観葉植物

・殺虫剤

・タバコの煙(副流煙)

など

犬が誤飲・誤食しやすいおもちゃなど

細かく呑み込めてしまうものは、どうしても誤飲誤食が起きがちです。犬の場合、紐上のもの革製品などは口に入れやすいので特に注意が必要です。また、消化できなかったり、詰まりやすいものも多く、管理には家族の注意が必要です。

・布、ティッシュ、アルミホイル・糸、リボン
・ウレタンマット
・犬用のおもちゃ(ロープや紐状の特に咬みちぎれるもの)
・輪ゴム、ヘアゴム、ピアス、イヤリング、ネックレス、革靴、グローブ
・ボタン電池、携帯の充電コード
・ビニール袋
・首輪
・串、ようじ、綿棒

異物誤飲を発見した場合の応急処置や対応法

異物がのど・食道に詰まっている場合の処置

①異物がのど、食道につまって苦しがっている場合は、犬の体を抱えて下を向かせ、背中を軽くたたいて異物を吐き出させます。

中型犬・大型犬の場合は家族で抱きかかえ出させるようにしましょう。

②短時間、たたいても吐かない場合、体が大きく暴れて手に負えない場合は、すぐにやめて病院につれていきましょう。

針やとがったものやひも状のものを飲み込んだときは、食道を気づつけてしまいますので絶対に引っ張らないようにしましょう。

また、呼びかけても反応がなく意識のない場合やけいれん発作など神経症状が起きている重症の場合は、吐いたものを喉に詰まらせることもあります。家庭での処置はせず、すぐに病院に連れて行ったほうがよいでしょう。

この際、飲み込んでしまったものの残りがある場合は、治療の方針を決めやすくなるので一緒に持っていきましょう。

異物がのど・食道を通過し胃に到達している可能性がある場合の処置

万が一、人間が飲む薬を犬が飲んでしまった場合は、薬の成分がわかっていれば処置方法が明確になる場合もあります。薬のパッケージなど成分についてわかるものを必ず持って行き、獣医師に渡しましょう。中毒症状を起こすケースもありますので、早急に対応しましょう。

異物を口に入れようとしている場合の処置

犬が異物を口に入れた瞬間を見つけた際は大声叱るなどをすると驚いて飲み込んでしまうこともあります。

まずは目を合わせ気まずい雰囲気にし、接近して異物を取り上げましょう。

口の中に異物が残っている場合は、ご飯やおやつ、他のオモチャ等で注意を引いて自ら離すようにこちらから誘導しましょう。

動物病院での検査と治療

異物誤飲の検査・治療の流れとしては、以下のようになります。

①事前検査(X線や超音波、レントゲン)

②催吐処置

③消化管バリウム造影検査

④内視鏡検査

⑤開腹手術

異物誤飲が疑われる場合は、最初にX線や超音波、レントゲンで画像診断を行います。
明らかに胃に異物がある状態で、吐きだせる異物であれば、薬による催吐処置を行うことがあります。

催吐処置で異物を取り出せない場合、必要に応じて消化管バリウム造影検査を行い、消化管の通過状態を確認することもあります。

食道から胃にかけての場合は全身麻酔をし、内視鏡で取り出せることもあります。

内視鏡では取り出せないような異物、もしくは異物が胃をこえて十二指腸からさらに後ろで詰まっている場合は開腹手術するしかないケースもあります。

内視鏡で取り出せる場合は、異物が突き刺ささることによる内臓の損傷などがなければ、体へのダメージは小さいため、日帰り入院で済むこともあります。一方で開腹手術をした場合は、最長で1週間~10日程度の入院が必要になり、その後も経過をみるために通院をします。

異物誤飲誤食は検査だけでも犬には心身ともに負担がかかります。特に全身麻酔が必要になった場合心臓への負担が大きく体力のない子犬や高齢の犬にとっては、麻酔や手術そのものが命にかかわることもありますでの誤飲・誤食させないことが何よりも大切です。

誤飲誤食の予防方法

誤飲誤食自体は病気ではなく、薬で防ぐことはできません。予防策としては、犬の目の届くところには危険なものを置かないということ、なにが危険なものなのかをしっかり把握し、家に設置したりする前に危険かどうかしらべることを徹底するしかありません。

さらに室内でおもちゃ遊びをする場合は後片付けを徹底し、人間の食事の後に出るごみ(魚の骨、焼き鳥の串等)や匂いで惹かれやすい食べ物や、アロマなどご家族の癒しになるようなことでも、部屋を分けるなどをしましょう。

誤飲のたびに叱るだけではしつけはできません。さらに一度誤飲・誤食をした犬は何度も繰り返す傾向が高く犬種ごとにも悪食のある犬種もいます。

危険なものから遠ざけ、持ち込まないことが最大の予防になると言えます。

ページトップ